わしなりに考えてみた

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オランダに来てみてコラム

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世界遺産キンデルダイクの風車

 

 

オランダに来てから11ヶ月が経過した。

当初は文化の違いに非常に苦労した。

どう違うかというと個人主義が非常に強いという点でだ。

大学入学当初にあったオリエンテーションで、各国が

どれだけ集団主義か、個人主義かのグラフを見せられた。

そこでオランダはほぼ個人主義トップに君臨していて、日本は

ダントツで集団主義が強いのかと思ったら意外と真ん中くらい

だったのを覚えている。

 

個人主義が強いというのは例えばみんながみんな物事に対して

意見を明確に持っていてその意見を上手に口にすることに慣れている。

大学の授業ではそうした意見を表明しなければならない場面が多く

それができないと空気な存在になってしまう。

自分はそもそも興味のないものに対して意見など持ってないし、持っていた

としてもそれを上手く形にできない。

しかも英語ならなおさらだ。ということで最初は苦労した。

オランダの大学はグループワークが非常に多いため、自分の意見を相手に

伝えなけらばならない場面は本当に多い。

 

けれど、グループワークをこなしていくうちに段々と意見をいうことには

慣れてきた。このグループワークというのはオランダのオランダらしさが詰まっている

ので、もう少し詳しく触れていく。そしてそれ以外の面白い点にも触れていく。

 

  • グループワーク

日本でも授業でグループワークをすることはある、というか昔から学校での行事とか

掃除とか、そういったところからグループワークをグループワークと意識せずにこなしてきている。ただ、オランダのグループワークは日本のものとは質的に異なっている。

なんというか、個人が共通の目標を持っているがゆえに短期的に集い、課題を分担して解決していく行為といった感じか。

日本的な集団意識、連帯感みたいのはない。なんというか俺たち一年A組!みたいのはない。オランダ人の友達に聞いたけど、学校行事も日本みたいなクラス対抗の合唱祭とか文化祭とか体育祭もなく、部活もないため、つよく集団意識や連帯感を感じる場面はあまり無いのだという。

とにかく合理的な効率的に終わらせようと感じがあり、だらだらと仕事をすることが無い。これはいい面ではあるが、逆に1+1=2的な思考であり、1+1=10になるようなグループワークならではの相乗効果のようなものが起こる気配はない。

そういう意味で、日本のグループワークは無駄が多いかもしれないが、逆に集団に多くの時間をつぎこむ事である種のミラクルが起きる可能性を内包しているような感じがする。

 

オランダでは子供の頃からディベートの練習を学校でするらしい。それはディベートという自分の意見を論理的に表明する行為が個人主義のオランダにとっては必須のスキルだからだろう。最初に述べた通り、皆んなが皆んな意見を持っていて、かつそれを形にするのが上手い。これがキチンとできないとコミュニケーションが上手く成立しないのである。日本ではコミュニケーションの質は聞き手がどれだけ上手な質問を繰り出し相槌を打つかに依存するように思えるが、オランダでは話し手がどれだけ分かりやすく伝えられるかがコミュニケーションを左右する。これは日本人にとってはかなりストレスになる。なぜなら、普段僕たちが省略しているような事まで話さないといけないからだ。なんかあれだよねみたいな便利な言葉は使えない。

この技術はまだまだ不足しているが、当初よりはマシになったように思える。

英語の上達とともに自分の意見を形にするのは上手くなったように思える。

なぜなら英語は結論を先に言う言語であり、つまり結論が見えていないと話せないのである。英語を言語として使うことは自分の中の意見を整理することにつながる。すこし話が横道にそれてしまったが、つまりディベートをすることにより自分の中の意見がはっきりする。それによって自分の意見を他人にもわかってもらえ、自分の考えてることもよく分かるようになる一石二鳥である。だからディベートをすることは個人として他人に認めてもらえるし、自分が物事に対して意見を持てるようにもなるしでオランダでは大事なのだろう。

日本だとこういう技術を学ぶ機会はないので、ここで少しでも経験できたことは良かった。

 

  • アウトプット文化

先のディベート文化に由来してか、この国のアウトプット文化もまた凄い。どういうことかというと、頭の中のアイデアをアイデアとして終わらせようとせずに形にしていこうという傾向が強いのだ。例えば、大学の授業ではプロジェクト形式のものが多く、与えられた課題を解決するためのプロダクトをグループで考え、それをプロトタイプとして実際に制作して、それをプレゼンするのだ。実際に会社で製品開発をするプロセスと一緒だ。非常に実践的である。知識をインプットしたら必ずそれをアウトプットする。そうすることでその知識が頭に定着する。こういった考えのもとに国全体でカリキュラムがデザインされているのは素晴らしいと思う。この文化のためか、オランダでは起業をする学生が多い。このアウトプット文化に触れられたのはこの留学で一番の収穫かもしれない。僕は日本の教育に対して、ずっと疑問を持っていて、どういう疑問かというと、なぜアウトプットさせてくれないんだ。なんで学んだ知識を使って何かを作ったりしないんだ。という疑問だ。

ぼくはスポーツメーカーに入って、スポーツ用品の設計をしたいと思い工学部に入学したのだが、いつまでたっても数式を学ぶだけでその数式を現実の製品設計にどう活かせばいいのかということに関しては教えてもらえなかった。しかし、それをオランダに来てようやく教えてもらえた。いや、教えてもらえてはないが、アウトプットする機会を与えられ、それにより自分で勝手に学んだという感じか。アウトプットを通してインプットをしたと言えるかもしれない。

今まで受け身でいた自分に気づいた。実は自分が主体的に動けば、物事が解決することもある。今の時代、何かについて知りたければ、youtubeで検索すれば以外と見つかる。とくに英語でなら本当にたくさんの情報が見つかる。解析ソフトの使い方からギターの弾き方まで。

それに、何か作りたいものがあり、例えば靴を作りたければ、そしてその作り方が分からないのであれば、いまある靴を解体すればいい。そしてその解剖図を手にすればいい。答えを待たずに自分から動く。完璧じゃなくていいからやってみる。そうした中で学べるものがある。こうした考えがオランダにはデフォルトで浸透しているように感じた。クリエイティブで自発的な国民性だ。

 

  • 学校の位置付け

オランダでは学校は将来一人前に働けるようになるためのスキルを学ぶ機関という位置付けらしい。当たり前のことを言っているように聞こえるが、多くの国で学校はなんとなく皆んなが行かなければならない場所になっているように思う。学校で学んだことの大半はべつに社会にでてから使わないというのが大半ではないだろうか。けれどオランダでは、本当に使える知識を学べるようにアウトプットをさせるし、グループワークをさせるし、ディベートもさせる。コミュニケーション能力、学習能力、創造性。数式とかを学ぶのはもちろんだが、その過程を工夫することによって上記の能力が学べるようになっている。日本の大学ではテストが終わったら習ったことは忘れるというのが常だが、こっちは宿題が本当に多くて、たくさんの関連論文を読んだり、プログラムを書いて自分で計算したりしてとても頭を使うので知識が定着する。日本でプログラミングの授業以外でプログラムを書いたことはなかったし、論文を研究以外で読まされたこともなかった。こっちに来てたくさんの工学系のソフトの使い方、論文を読むことの面白さを学べた。

授業は日本みたいな座学の授業もあるが、大半は答えの無い系の授業だ。ある社会に存在する問題に対して、自分だったらどう解決するのかを論理的に説明するタイプの授業だ。たとえば、ぼくのとった授業の一つでは、従来よりもエネルギー効率のいい乗り物を自然界から着想して考えよというものがあった。ぼくらのグループは魚から着想してエンジンなどなしで川の流れの力だけで川を横断する乗り物を考えた。こういった感じの授業が多い。必然的に創造性が磨かれ、自分の意見を形にすることに抵抗がなくなってくる。自分でも以外とできるんだと思えるようになってくる。

 

  • チャリ、食、ファッション文化

オランダといえば、大麻と風俗とチューリップという印象だったが、チャリがすごいことを知った。どう凄いかと言うと、国民が平均一台以上のチャリを保有してて、みんなチャリで通学するのだ。国土全体にチャリ専用道があり、国土がフラットなことも影響して本当に自転車が暮らしやすい社会。国会議員もチャリ通勤らしい。

ぼくの通学路は運河沿いで30分ほどずーと一直線で信号もほとんどない。その運河を横目に自転車で風を感じるのは本当に綺麗な瞬間で、皆んなに一度利用してみることをおすすめしたい。

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通学路に住んでるアヒル一家

食に関しては悲しいくらいに質素。芋とチーズが主。本当にそればっか。食文化と呼べるほどの食のレパートリーはなく、驚いた。食を発達させることにエネルギーを割かなかったらしい。ファッションに関しても同様ですごくこだわりがない。ジーパンにTシャツが多く、店はH&MとMANGOばっか。男、女ともに着飾っている人が少ない。

食とファッションにこれほど関心が無い国ははじめてだったので驚いた。

その分、教育とかお金を生み出すものにはたくさんのエネルギーを注いでいるのだろう。オランダ人は合理的でケチということで有名なので割り切っているんだろう。

 

  • まとめ

いろいろ述べましたが、とても綺麗な街並みできさくな人々のいる国です。教育のレベルはほんとうに高いので留学するのはおすすめですよ。ぼくはオランダのことは一ミリもしらずにたまたま学びたい学科がそこにあったから来ただけだったんですが、来てよかったです。