わしなりに考えてみた

まじめなことも、ネタも

ピカチュウが世界を変えようとしている。

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先日、ポケモンGOというアプリがリリースされて巷が大いに賑わっている。

ポケモンはリリースされるたびに学校では話題の中心となるが、今回のポケモン

ポケモン好きの子供たちや大人だけでなく、学校の先生、経営者、投資家までもが話題の中心としている。

それは今回のポケモンは社会的、ビジネス的に革命的な影響を起こしうるからだ。

 

 

ポケモンGOは、ARとGPSシステムを組み合わせ、ポケモンの舞台を現実世界へと移した革新的なゲームだ。現実世界を歩くと、スマートフォン上にポケモンが表示され、そこでモンスターボールをスワイプして投げるとポケモンをゲットできる。

ゲットしたポケモンは今までと同様に育てて、戦わせることができる。

また、現実世界の名所や学術機関などはポケスポットと呼ばれるアイテムなどを入手できる箇所に設定されていて、そこでモンスターボールなどをゲットできるようになっている。

 

 

一見、この説明だけ読むと、なんだかすごくゲームも進歩したんだなぁと思うだけかもしれない。しかし、注目すべきは技術の進歩に対してではない。

投資家や経営者まで騒ぐのにはわけがある。

 

次に、ポケモンGOが及ぼすビジネス、社会への影響について説明したい。

 

 

 

 

 

1.ビジネスに対する影響

テレビ、新聞、youtubeFacebooktwitterスマホアプリ。

彼らがこぞって争っているもの。

 

それはユーザーのスキマ時間。

 

現代人はスマートフォンの影響で、時間の使い方が従来とは異なり、細切れになっている。通勤中、列に並んでいる間などの細切れ時間、みんなスマホをいじっている。

 

ポケモンGOはそのユーザーのスキマ時間を根こそぎ奪おうとしている。

 

ポケモンの圧倒的な人気に加え、現実世界をゲーム世界の融合という全く新しいゲーム感覚。そして、歩き回ってポケモンを捕まえる必要があるため長いアプリ滞在時間を有すること。これらが影響して、一気に人々のスキマ時間はポケモンにとられる。

あるスマホアプリでは、ポケモンGOリリース当日に、ユーザー滞在時間が通常に比べて70%減少したそうだ。

これはスマホアプリ界隈の人にとっては大打撃。

 

それだけならまだいい。

 

実はポケモンGOマーケティング対象は一般人だけでなく、経営者も含まれている。

じつは、冒頭でポケスポットと呼ばれるアイテムがもらえるスポットが存在すると書いたが、そのスポットは実はお金を出せば購入できるようになるかもしれないのだ。

すでに日本マクドナルドが、マクドナルド全店舗をポケスポット化する方針を定めた。

 

それはどういうことかというと、マクドナルドに行けばアイテムが手に入り、また他のユーザーと対戦もできるようになり、ポケモン目当てに人が集まるということだ。

 

つまり、現実世界の店舗の集客にポケモンが使えるようになるということだ。

 

今はマクドナルドだけだが、そのうち他の企業や、もっと誰でもこれができるようになれば、集客のメソッドが全く新しいものに生まれ変わることになる。

うちの店にはwifi置いてます、と同じ感覚で、うちの店はポケスポですとなるのだ。

いわば客寄せパンダならぬ客寄せピカチュウ

 

そして、そのうちこのゲームユーザー以外も巻き込むというビジネスモデルがまねされ、ポケモンだけでなく他の分野で応用されることで社会が激変する可能性がある。

つまり、現実世界と抽象世界を行き来する感覚が当たり前となるということだ。

 

例えばカーナビの地図上に、ポケモンGOと同じようにコインとかを仕込んでおいて、コインが溜まったらガソリン代10%オフとか。

考えればいくらでも応用はできる。

 

 

 

 

2.社会への影響

全国の小学校では、夏休みにおけるポケモンGOによる事故が心配されているようだ。

スマホをみながら歩き回るため、交通事故の引き金になりやすい。

 

これはポケモンGOの持つ負の側面であるが、いい意味での変化もある。

 

 

それは、人々が進んで外の世界を探検するようになることだ。

 

自分の近所にはいないポケモンを求めて歩き回ったり、友達と一緒にどこどこにレアポケモンが出るから、行こうぜ!みたいな感じで出かけたり。

 

まさにぼくらが小学生の頃に、あそこの木からは樹液が出てカブトムシが取れるらしいいぞ!行こうぜ! と言っていたのと同じノリだ。

ポケモンは人間の狩猟採集本能にのっとって作られているためこのような現象が起きる。

 

大陸限定ポケモンなんてのもいるらしく、ヨーロッパにしかいないポケモンとか、アジアにしかいないポケモンもいるらしい。きっとマニアはそのためだけに旅行したりするだろう。

 

引きごもりがちな人も動くようになるし、運動不足の解消にもなる。はたまた、ポケモンを通して他のユーザーと出会い、友達になることだってあるだろう。

 

ポケモンを作っている任天堂は、プレステを作っているソニーが技術の進歩にばかり力を注いでだんだんと人気を失っていった一方、常にパラダイムシフトをして時代の変化に対応してきた。

 

Wiiを作った時は、ゲームが子供がいたずらに時間を費やす無益なものであり、親はゲームに熱中する子供をしかりつけるというパラダイムを、子供だけでなく、親やおじいちゃんおばあちゃんまでもが楽しめるものという新しいコンセプトを打ち出した。

 

今回のポケモンGOでは、ゲームは家に閉じこもって、じっとしてやるものというパラダイムから、外に飛び出してアクティブにやるものというパラダイムへと移し替えようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、たくさんの影響を及ぼしうるポケモンGOだが、その最も本質的な影響は

現実世界と抽象世界が融合する楽しさ、可能性を世界に示したことだろう。

 

インターネットが登場してから、抽象世界というのはどんどん発展してきた。

ウェブサイトはインターネット上の家であり、ウェブサイトを通してものを販売したり宣伝したり。アバターを作ってネットの世界で人と交流したり。ただ、あくまでそれはインターネットの世界での出来事でしかなかった。

 

現在は現実世界と抽象世界の垣根がだんだん無くなっていっている。

3Dプリンターやグーグルグラスなどに代表される技術革新だ。

 

 

ただ、これらの技術は様々な制約や心理が相まって、人々に絶大な影響を与えるまでには至っていない。

どんなに素晴らしいアイデアや技術も必ずしも世界に広がるとは限らない。

広がるためには起爆剤が必要だ。

 

今回、既存のARと位置情報システムというテクノロジーを圧倒的な知名度を持つポケモンが単なるゲームとしてだけでなく、ビジネスモデルとしても提示したことが起爆剤となり、現実世界と抽象世界の融合がより人々に浸透することになるだろう。

 

現実世界と抽象世界を繋ぐというものすごい感覚を、最も一般の人に分かりやすい形でポケモンが提示したことが、ぼくは意義があると思う。

 

これは人々の人気を長年をかけてゲットしてきた、ポケモンという存在だからこそできることだと思う。まさにドラゴンボールの最終回でミスターサタンの一声でみんなが元気玉にエネルギーを与えて世界を救ったのと同様に、ピカチュウの一声で世界は大きく変わるんじゃないだろうか。

 

それにしても任天堂はゲーム会社なのに、一体世界のことをどこまで考えているんだろうか。